ザムザ阿佐ヶ谷
14-May-2006 14:30~16:30
月蝕歌劇団

日曜のお昼のせいか、老若男女、幅広い客層でした。
第2次大戦下の満州、日本軍は自国の勝利のために過去から坂本龍馬を呼び寄せます。
関が原の合戦で秀吉側についた薩摩・長州・土佐は江戸幕府に冷遇され、明治維新は、彼らの江戸幕府に対する復讐でもあった。その後の日本は第二次大戦の敗戦まで、薩摩・長州・土佐出身者によって支配されることとなる。秀吉に滅ぼされた恨みから、豊臣の一族を根絶やしにせんとする雑賀衆の末裔、朝鮮出兵以来日本(豊臣)に恨みをもつ朝鮮の人々がからんできて、幕末と昭和、日本、中国、朝鮮と時間と場所があっちゃこっちゃします。
男子も出演していますが、主要な役はすべて女子、つまり男役によって演じられるということで、どーしても宝塚と比較してしまうのですが、宝塚ではすみれコードに引っ掛かり、絶対できないことが、月蝕歌劇団ならヘーキでできてしまうところが月蝕ならではの部分でしょう。しかし宝塚ってすみれコードにかからなければ何でもありのところがあり、意外にアングラテイストなシーンがあります。
宝塚の代表作ともいえる「ベルサイユの薔薇」、男装の女性との恋を女同士で演じるというかなり倒錯した世界をピンク色と輪っかのドレスでファンタジーに仕立て上げているようなもの。これがアングラに転ずると「少女革命ウテナ」になってしまうのだな。
実のところ、月蝕と宝塚の最も大きな違いは、実はアングラか否かではなく、少女歌劇か否かだと思います。少女歌劇から大人の歌劇へと変貌していった宝塚に対し、月蝕歌劇団はこれからもずっと少女歌劇でありつづけるのでしょう。
内藤数馬役の一ノ瀬めぐみさんと木野鈴之進役の保鳴美凛さんは、宝塚の若手路線系のタイプですが、龍馬役の合沢萌さん、岡田以蔵役の半澤香綾さんの二人は宝塚にはいないタイプでしょう。日本人将校西本役のスギウラユカさん、最も月蝕のアングラっぽさを体現しているように感じました。
保鳴美凛さんは木野鈴之進と乙女ねえちゃんの二役で、この乙女ねえちゃんが絶品でした。
半澤香綾さんは、「前世は岡田以蔵だったんじゃねえか?」っていうくらいピッタリの役でした。ドンブリ飯かきこむ姿があれほど似合う男役は、宝塚にはいません(笑)。
娘役さんでは、藤田実加さんがフシギなオーラを出してました。この人はどこか年齢国籍性別不詳で爬虫類飼ってそうな雰囲気がありますね。プライベートデータを公表せず、謎の女優さんであって欲しいです(笑)
龍馬、以蔵、乙女ねえちゃんのお茶の間コメディのシーンは面白かったな。月蝕の枠から飛び出してコメディやっても良さそうですね。
気になったところ
・客演や新人(かな?)の役者さんと主要メンバーのレベルの違いがありすぎ。まあ新人さんについては、宝塚の研1さんを応援するつもりで、暖かい目でこれからの成長に期待しようっと。
・台詞は肉声ですが歌のシーンになると録音&口パク、声がスピーカーから聞こえてくるのでちょっと違和感あり。歌劇団っつうくらいだから下手でもいいから生で歌ってほしいな(でも、あんまり下手なのは勘弁だな)
・殺陣も、もそっとビシッと決まってたら迫力倍増かな、でも舞台狭い割りに人口密度が高いから難しいかも。
・松本永倫子さん、日本軍将校から「愛の嵐」のシャーロット・ランプリングのようになってからは面目躍如でしたが、日本軍将校の格好での踊りが中途半端に感じました。もっと官能的な、安寿ミラもビックリなダンスだったらよかったのに...ちょっと残念。
最後のカーテンコールでは、出演者全員で「南国土佐をあとにして」を合唱。
歌詞カード配って、客席も一緒に歌えるようにしてくれたらよかったのにと思う。
帰宅後、坂本冬美のカバー版だけど「南国土佐...」、ひさしぶりに聞いちまったぜ。えへへ、名曲だな。
ブログで検索「龍馬は戦場へ行った」
日曜の昼下がり。お昼寝日和...って曇りだったけどな(笑)

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