エムズクルー「アイノキセキ」
精神病院を追われるように退院した中年男・茂木孝弘と、それを仕向たらしい元患者の女・寺西圭子。二人の暮らしとそれを支える弟・茂木洋二と彼の愛人・野宮貴子。彼らの過去。
彷徨を余儀なくされ、孤絶を深めながら、それでも他者を求める想いと寂しさと、二人の行方を見据えた(大人で昭和な)「愛」の物語。
中央に舞台、両側に客席が設置されていて、舞台を客席から見るというよりも、現実の出来事を覗き見しているような感覚でした。
茂木孝弘と寺西圭子は、特に茂木孝弘は時折見る幻覚に恐怖し、死への衝動にかられることもあるが、自分が精神を病んでいる(いた)ことを自覚しており、それでもなんとか二人で生きていこうとする姿は健気に感じる。一方で、二人を見守る弟が、あるとき、兄に対して本気で感情を爆発させる(殴りかかろうとする)ところ、二人の住むアパートの隣人に警察官が、弟の愛人を強姦しようとするところでは、人間の心の中の狂気を垣間見るようで、恐かったです。
人間、誰しも心の中に狂気を飼っており、いつ豹変するかわからない...これは恐い。
精神病院の医師と看護婦が、怪談話で盛り上がるくだり、2時間10分の上演時間のなかで唯一のおちゃらけたシーンで、そのときは異質な感じがしましたが、見終わってみると、怪談やらお化けよりも本当に恐いのは現実の人間だというメッセージだと思いました。
蛇足ながら、怪談噺を通して、実は人間の心の中の恐ろしさを描いた三遊亭圓朝は、やっぱりすげーな、と思いました。
最後は、園まりの「逢いたくて逢いたくて」をBGMに終幕。まるでこの芝居のために作られたと思えるほどぴったり。帰りに「逢いたくて逢いたくて」のCDを買っちまったです。多分、今週のMy Best Songだな(笑)
迫力と恐さで圧倒され、園まりの歌で救われた芝居でした。
蛇足その1
野宮貴子役の方、どっかで見たことがあるなあと思ってたら「恋のから騒ぎ」に出てた斎藤萌子さんでした。
蛇足その2
対面の席の方のリアクションが目に入ってきます。激しいリアクションの方が居ると、とっても面白いですね。あと、ミニスカートの女の人がいなかったので芝居に集中できました。
蛇足その3
コロッケ食べるシーンあり。うまそー。空腹にはこたえたです。
おまけ 駅でお出迎え中のネコたん♪
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