宝塚歌劇団「明智小五郎の事件簿~黒蜥蝪/TUXEDO JAZZ」
宝塚歌劇団
14-Apr-2007 11:00~14:00
東京宝塚劇場
詳しい内容はこちらで(ENAK STAGE GRAPH)
黒蜥蜴
オリジナルの「黒蜥蜴」と異なり、明智小五郎と黒蜥蜴は、実は生き別れた兄と妹で、それを知らずに恋に落ちるという話。
脚本・演出の木村先生によると、『...黒トカゲを「少女」だと捉えました。その自己演出、行動の大胆さに、むしろ処女性を感じとったのです。実は少女こそ、少年と同じく残虐さを秘めているものですから...』とのこと。
当初、「なるほど、少女の残虐性が人間の剥製につながっていくのが...」と思っていたのですが、観たら、美しい人間のコレクションじゃなく戦争孤児を養うための犯罪組織という設定。少女の残虐性どころか、これでは義賊です。
最後に明智が黒蜥蜴に「結婚しよう」というくだり。これは「愛してる」だけにすべきではないかと。探偵と犯罪者という、決して結婚できない男女の恋の話=「黒蜥蜴」ではないのでしょうか?
戦争で兄と生き別れになった少女が、大人に騙されて売られてしまい、それがもとで男性不信・人間不信になり犯罪に走り、屈折した愛情をもつようになってしまった...というほうがよかったんじゃないかなあ。
人間の剥製コレクションが宝塚的に難しいなら、人間不信から宝石・美術品への異常な執着するようになったとか。やっぱり黒蜥蜴に慈善事業はして欲しくないでしょう。
さて、明智小五郎は、浮浪児を集めて少年探偵団を組織していますが、小林少年の髪を優しく撫でるシーンがある。どうも明智に少年愛の気があるように見えて仕方がなかったのですが、そうなら明智が独身でいるのも納得だし、少年愛の明智と男性不信の黒蜥蜴が恋に落ちるのは、実は兄と妹の血によって互いに惹かれていたからだ、という解釈もできそう。
改作のアイディアよかったの上手く料理できなかった感が強いけれど、冒頭の誘拐事件のくだりは緊迫感があったし、戦後の昭和っぽい雰囲気も好みで、実は結構面白かったのです。あと2回リピートするぜ♪
お気に入りの人物・シーンを箇条書きで...
・桜一花の小林少年。
いくらなんでもかわいすぎる。(無理は承知だけれど)桜一花主演で「少年探偵団」を観てみたい。
・桜乃彩音のコスプレ
男装でホテル脱出は、オリジナル「黒蜥蜴」にもある有名なシーンなので想定の範囲内として、和服にメガネ・ほおかむりに割烹着はツボでした。蛇足ながら、桜乃彩音って、ほんとに昔の小説の挿絵に出てきそうな顔立ちなのだな。
・壮一帆の波越警部
自らプロポーズの言葉を歌で語るシーンは、しがない薄給の警察官の風情が出まくりで、おいらは泣いたね(笑)
・野々すみ花
大抜擢ですね。なかなかいいじゃん。がんばれー♪
・サソリの鈴懸三由岐
オリジナルでは”青い亀”の役ですね。アダルト~な雰囲気はさすが。
TUXEDO JAZZ
荻田浩一作品にしては、やけにあっさりほのぼのしていて物足りず。
JAZZっていうくらいだから、もっとダークで退廃的な雰囲気を想像していたのですが、プログラムにもあるとおり「朗らかな雰囲気のショー」でした。(前回の月組公演「ファンシーダンス」のほうが、よっぽどJAZZYだ)
プログラムには「あくまでもタカラヅカ的な仮想世界のジャズ」とある。
予想を裏切り、ひとひねりしたジャズの世界...やはり荻田先生、変化球を投げてくるのでした。
・桜一花のアメリカンガール
「明智・・・」の小林少年のイメージが強すぎたせいか、一瞬「ショーは娘役もやるのか」と思ってしまった。もともと娘役じゃんね(笑)
・鈴懸三由岐
中詰の総踊りで、ひときわ弾けて踊っていました。
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