儚組「カンブリアン・ムーン」
儚組
7-Sep-2007 19:30~21:00
アイピット目白
劇団紹介で「~傷痕のエンターテインメント~」とあります。公演の写真を見ると、ファンタジー系ミュージカルな雰囲気もあるし、はて?
母親を殺して岬に飾った家重ミチルが少年院から失踪した。
フリーライターの塩沢は雑誌の依頼で彼の起こした事件を取材しようと、かつてミチルを取り調べその後に刑事を辞めた長谷川や、今も過去に縛られたまま残されているミチルの妹と接するうちに、自分自身の奥底に隠した終わらない螺旋へ、落ちていく。
その彼をとりこむ混沌につながりあう、
痛みのうちに赦しを求めてさまようミチルの母親ハヅキの死体、
人間の関係性の変質と地球環境の変化の因果を研究する観音寺博士、
歌声に惹かれて五億五千万年前の海底よりやってきた歪んだ人魚たち、
時の輪の外側で遊び続ける虫捕り網を持った子供。
やがて太陽に焦がれた岬に、それぞれの答えが向かう時、そこに、かけがえのない真実がこぼれる。
愛情の脱け殻からこそ生まれ得る、来たるべき世界の希望を想い描いた、儚組舞台。
現実の世界と、死後の世界(死んだ魂の世界)と、五億五千万年前の海底よりやってきた歪んだ人魚たちの世界が時間を超えて繋がり、舞台上に同時に存在するので、見ていて混乱するのですが、劇中で観音寺博士が言うところの「DNAには五億五千万年前からの記憶が刻まれている」とすれば、時空を超えたつながりがあるのもなんとなく納得。
歪んだ人魚たちが歌ったり踊ったり。この世とあの世を自由に行き来できるような存在で、静かに浮遊しているような踊りが綺麗でした。
「やがて太陽に焦がれた岬に、それぞれの答えが向かう時、そこに、かけがえのない真実がこぼれる。」とあるけれど、それがどんなモノなのかは、芝居の中では明確にはしてくれない。「観る側が自由に感じ取ってくださいね」ということなのかな。説明や謎解きは一切してくれません。(自分が気がつかない、あるいは見落としていたのかもしれないけれど...)
こういう詩的な舞台は好き嫌い(というか得手不得手)がはっきりしそう。自分的には、もうちょっとわかりやすく謎解きしてほしかったなあと思うのでした。(恐らく多くの裏設定があると思うですが、それをもっと明らかにして欲しかったなあ)
内容とは関係ないのですが、女優さんの男役芝居が多くて面白い。正直、物語の世界よりも、男役芝居で90分楽しんでしまった感が強いです。
家重ミチル役の海菜さんは少年役。誰かに似てるような...と思ってみてたですが、そっか、宝塚月組の夢咲ねねでした。夢咲ねねの男役っていけるかもと思ったりして。
歪んだ人魚のひとり佐々木康予さんは、もろ男前な役。で、宙組の十輝いりす似。
大久保舞子さん(観音寺博士の秘書かな?)は女性役だけれど立ち振る舞いは男役系。(ウーロン茶一気飲みが面白かった。)
中川道恵さんは元刑事の役で男勝りな役どころ。守祥子さんは母親役だけれど見た目がちょっと男前(笑)
野水佐記子さんは塩沢の妻で虫捕り網を持った子供の母親でしたが、前半はどの世界に属しているのかわからない不思議な存在でした。(野水さんも男装とか、似合いそうだし...)
松原彰兎 | |
海菜 | |
守祥子(㈱エム・アール) | |
西村麻衣 | |
船井那女 | |
小河慶子 | |
ののゆうこ | |
早瀬あおい | |
中川道恵(演劇集団なたく) | |
紺田タカシ(Dramatic Company Inhighs) | |
大久保舞子(Dramatic Company Inhighs) | |
稲垣菜穂子 | |
尾崎文(㈱マルチックアイ) | |
入倉渉通 | |
野水佐記子 | |
台本・演出 | 面高純一 |
舞台監督 | 比嘉正哉((有)パーツスタジオ)、工藤美香子 |
照明 | 橋本剛(colore) |
音楽 | 橋本裕子 |
美術・衣装 | 船井那女、うらべあづき、裏儚組 |
振付 | 嶋田敬子(豚耳) |
宣伝美術 | 木内美羽(mius) |
運営事務 | 中台祐子 |
情宣 | 左観哉子 |
受付 | 早川あゆ(Hip up sisters) |
制作 | Transient Office |
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Comments
江戸川から発信の@えどしんです。
どうもはじめまして。
当方のHPで現在、「カンブリアン・ムーン」の企画を連載中で
今夜はののゆうこさんを取り上げる予定です。
それで検索エンジンで彼女の名前をチェックしたら、
キティ研さんがヒットしました。
さっそく、記事を読ませてもらいました。とても参考になります。
男前で観る儚組・・・とても、とても良い視点だと思います。
でも、私は書きたくても、書けないテーマだったりします。
って、けっこう彼らのことをおもしろおかしく書いているかな(笑)
演劇の記事が充実していてとても良いブログですね。
ウチなんかカッコ良く言えばノン・セクション。
悪く言えば雑多・・・てなところでして(涙)
また、何かありましたら、参考にさせてもらいます。
今後ともよろしくお願いします。
いみし。
Posted by: えどしん | September 12, 2007 03:22 PM