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November 2007

November 29, 2007

ワンアワーパーキング「兄かえる」

ワンアワーパーキング
28-Nov-2007 19:00~20:20
小劇場 楽園

Corich公演情報

071128

約80分。


 余命わずかと宣言された兄が、十数年ぶりにふるさとに帰ってきた。

 兄は、若い頃は学生運動に熱中し警察の厄介になったり、父親の葬式で香典を盗んだりで、実家の農業を継いだ弟との関係は最悪。それを承知で実家にやってきたのは、自分が死んだら両親と同じ墓に入れてくれるよう頼むためだった。

 兄・貴史が通うスナックで働いている女性・原田菜実(相原美奈子)のキャラがいい。貴史に医者に行くよう勧めたり、貴史が田舎に帰るときは、妻の振りをして同行したり、貴史の病気のことをそれとなく弟に伝えたり、兄弟と仲直りを願ったり...と、脇だけれど重要な役で、別に親類縁者でも幼馴染でもないけれど、貴史への接し方が、とても温かくてよいのです(これは恐らく菜実が、亡くなった父親と貴史と重ね合わせているのでしょう)。

 開店前のスナックで、貴史と菜実が、サンドイッチと牛乳で食事をとるのですが、なんともいえず下町人情ドラマ風で好きな場面。ぜーんぜん根拠はないのですが、阿佐ヶ谷とか高円寺のスナックじゃないかな。


 兄・貴史と会うことを拒んでいた弟は、菜実から兄の病気のことを聞き、兄と会うことを決意する。

 決意するまでに、弟の心の中ではさまざまな葛藤があったのではと思いますが、そのあたりは詳しく描かれていません。そのかわり、和解した兄弟が楽しそうにバーベキューをするシーンなどがあります。「あぁ、これは余命がどうのこうのとか、兄弟のいがみ合いがどうのこうのというよりも、(パンフにも書いてある通り)ふるさとっていいものだよねっていう芝居なのだ」ってことなのですね。

 前作は見ていないのですが、前々作「ウツワノイツワ」と同様、ともすれば重くなりがちなテーマなのに、お涙頂戴瀬にせず、ほんわかした舞台になっています。

 とにもかくにも菜実のキャラが自分としてはツボ。「男はつらいよ」の寅さんというか「釣りバカ日誌」のハマちゃんというか、松竹映画に出てきそうな「実際にこんな人が近くにいたらいいよなぁ」というキャラで、"菜実ちゃん"シリーズで連続モノが見てみたいと思っちゃいました。

 菜実ちゃん、いいよなあ♪

長井貴史(兄) 宮澤正
長井勝(弟) 中村哲也
長井君代(勝の妻) 鈴木美生代
民男(貴史・勝の友人) 今野伸洋
原田菜実(貴史の通うスナックの店員) 相原美奈子
山崎里美(貴史・勝の妹) 貝原怜菜
山崎祥治(貴史・勝の友人、里美の夫) 小井土一章
 
作・演出 コイドイッショウ
照明 葛生英之(日高舞台照明)
オペレーター 森田祐介
音響 東海林梨紗
宣伝美術 小嶋裕
制作 ワナワーパーキング

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チャリT企画「ときめき都内」

B-amiru
27-Nov-2007 19:30~20:45
OFF OFF シアター

Corich公演情報

071127

 「ときめき都内」から、「ときめきトゥナイト」が元ネタかなというのは容易に想像はできたし、開演前に当日パンフ見たら、"魔亀旬"、"江戸乱世"とあるのでやっぱりなと思ったのですが、トニーやマリア、バレー部って何?まさか...と、あれこれ予想しながら開演待ち。

地デジをめぐるデジタル団とアナログ団の対立。
魔亀旬は自らガンダムになってデジタルの象徴として丸井ビル(0101だから)の破壊を計画。
3人しかいない北中女子バレー部...他

ミュージカル風舞台メイクで登場のトニーとマリア、終盤で二人が歌った「と~な~い(tonight)」に大笑い。考えてみりゃ容易に想像できるネタではありましたが、それまでのバカバカしさに思考停止していたので...(汗)

その他のネタ


  • アタックNo.1

  • 東京ラブストーリー

  • マッチ売りの少女

  • ヒカルゲンジ

年代的に、ツボネタばかりなので大笑い。

ラスト、作演出の楢原氏も登場、総勢21名が狭い舞台に勢ぞろいで歌唱。
やっぱり数は力だとぞ思ふ。


蛇足

開演前、終演後のBGMが懐かしいアイドルポップスで、芝居無しで、ずーっと聞いててもいいかなと思いました(笑)
河合奈保子を聞いたのって、何年ぶりだろう。

トニー 冠仁
マリア 吉岡亜沙美
魔亀旬 熊野善啓
江戸乱世 川端桜(Pretty Pink Princess)
北中女子バレー部顧問・マツモト先生 松本大卒
北中女子バレー部・アカネ 藤本慎子
北中女子バレー部・ミドリ 長岡初奈
北中女子バレー部・アオイ 山崎冴子
北中理科教師・シバタ先生 柴田さやか
路上の男I 伊藤伸太朗
路上の男D 宍倉靖二(innerchild)
路上の男K 金井強(劇団おらんだ)
こずえの母 内山奈々
こずえ 杉村こずえ
デジタル団・トニー 橘義一
アナログ団・マリア 小杉美香
デジタル団・リフ 日根野谷仁
デジタル団の女 緋田侑希子
アナログ団・ベルナルド 黒田敦之(ちくわぶ)
アナログ団の女 湖山未来
バンド仲間 楢原拓
 
作・演出 楢原拓 (chari-T)
照明 伊藤孝(ART CORE design)
音響 島貫聡
音楽 YODA Kenichi
舞台装置 高見S二
舞台監督 山下翼
宣伝美術 BLOCKBUSTER
舞台協力 甲賀亮
予約管理システム提供 シバイエンジン
制作 チャリT企画
協力 にしすがも創造舎(豊島区文化芸術創造支援事業)
 ガイプロジェクト、 innerchild
 Pretty Pink Princess、ちくわぶ

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November 26, 2007

宝塚歌劇団
「アデュー・マルセイユ/ラブ・シンフォニー」

宝塚歌劇団
25-Nov-2007 15:30~18:35 1F-16-49
東京宝塚劇場

Corich公演情報

071125b

詳しい内容はこちらで(ENAK STAGE GRAPH)


ミュージカル・ピカレスク
『アデュー・マルセイユ』
-マルセイユから愛を込めて-
作・演出/小池修一郎

 犯罪モノとして普通に面白い。
もっとハードボイルドな色合いが出るとかっこよいのではと思うのだけれど、それでは宝塚じゃなくなってしまいますね。

 ジェラールとマリアンヌの恋物語のくだりは、ちょっと端折りすぎじゃないかと思いました。唐突すぎないか。暗い青春時代を送ってきたジェラールにしてみれば、夢に向かって明るい道を歩いているマリアンヌに好意をもつのはわかるし、マリアンヌにとって、幼い頃、父親から聞かされていたジェラール像にあこがれていたようなので、二人が結びつく下地はあるのは理解できるのですが...
 この物語、結局ジェラールとシモンの友情と暗い過去との決着の話なんですね。しかし宝塚的には、主演コンビの恋の話を入れ込まないといけないのでしょう。
 マリアンヌが偽札密輸の証拠をつかんだために命を狙われるとか、組織に捕らえられたジェラールを救い出すために自ら悪に手を染めようとするとか、まー、そんな具合に事件に大きくかかわってくると恋の相手としてのマリアンヌの存在意義もでてくると思うのだけれど、100分の枠にはおさまらなくなってしまいそうだし。

 春野寿美礼と桜乃彩音の組み合わせって、対等な男女ではなく、大人と少女という感じなので、本作品のようにお互いが等身大の役だと、何か強烈な動機付けがないと恋愛物として成立し難いように思います。(この点、春野寿美礼・ふづき美世は、大人同士の雰囲気があってよろしかったです。)
 前作の「黒蜥蜴」、公演時は「なんで明智と黒蜥蜴が兄妹なんだようっ!」とつっこんだものですが、今思えば春野・桜乃の恋愛物を実現させるためのウルトラCだったのかも(単に苦肉の策かもしれないが)。

 愛音羽麗はアダルト~なおいしい役。

 真飛聖、品は無いけれど根はいいヤツというキャラがよく合ってました。もし、街が浄化されてカタギになったら、絶対石鹸彫刻職人だな。愛音羽麗がおかみさんで(笑)

 立ともみ、出番は多くないが、ここぞというときに登場する御奉行様のようで、これもおいしい。
星原美沙緒はさすがの貫禄、しかも怖い。犯罪モノが面白くなるかどうかは悪役の存在感次第だと思うのですが、その点は大成功でしょう。

 壮一帆、善人にも悪人にもなりきれない役をやらせたら日本一だと思います。

 アルテミス婦人同盟の面々では、やはりメガネっ娘の花野じゅりあがツボでした。

 マルセイユの駅前のシーンの舞台美術は秀逸でした。大階段を"駅前の階段"に見立て、上手く街のセットにとけこませています。「歌劇」「宝塚グラフ」に、その場面の舞台全体の写真が載っていないのは、"生で見るまでのお楽しみ"ということかもしれませんね。


グランド・レビュー
『ラブ・シンフォニー』
作・演出/中村一徳

 群舞が多く、ジャズ、ラテン、スパニッシュと、ノリのよい曲が続くので楽しい。自分的には好みのショーです。

 白を基調とした衣装でオーソドックスなプロローグ、一転して第2章「ラブ・ゲーム」では夜のクラブでエロっぽいダンスシーン。バックダンサーが途中ストップモーションになりますが、一般人だったらしろう一発で攣るような、すごい体勢で止まっていたのに感動。さすがプロ(笑)。鈴懸・花純・舞城・花野というアダルトなダンサーに混ざって、華耀きらりのような童顔の娘役さんが思いっきりセクシーに踊っているのも、宝塚の楽しみじゃないかと思います。

 花の場面は、見た目はメルヘン調なのに音楽はロック系で、御趣向。

 ラテンシンフォニー。、桜乃彩音は娘役にしては背が高めなのとシャープな顔立ちなので目立ちますね。歌は...声量がないのでダイナミズムが出ず、一本調子になっちゃうのだな。惜しい。

 スペイン交響曲。鈴懸三由岐のシャープな踊りを堪能。回るスピードのなんて速いこと。

 ジャズにしろラテンにしろ、"ムード音楽"として一括りにされていた昔風の曲調が、いかにも宝塚って感じでたまらなく良かったりするのでした。

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November 25, 2007

劇団桟敷童子「しゃんしゃん影法師」

劇団桟敷童子
24-Nov-2007 19:00~21:00
吉祥寺シアター

Corich公演情報

071124b

桟敷童子は「海猫街」以降、拝見していますが、本作品が一番好みです。

 「神隠し」、失踪やら行方不明を"神隠し"とすることで、いつかは戻ってくるかもしれないという希望につながる。
昭和37年の山村。その土地ではまだ神隠しが信じられている(同時に、単なる伝説となるのも時間の問題なのでしょう)。

"神隠し"を本気で信じている者、"神隠し"ではないと知りつつも、"神隠し"であって欲しいと願う者。

 幻燈影絵「東亜」の三婆と虹色蜻蛉。単なる旅芸人なのか、本当に神隠しに合って帰ってきた者なのか、影法師なのか。彼女たちの存在が、作品をファンタジックにしています。ラストの赤紅葉はひたすら美しく、完全にファンタジー。うーん、やられた~♪

 この作品にも過去vs近代という対立の構図はありますが、「博多湾岸台風小僧」「軍鶏307」「海猫街」のように社会や体制との対立よりも、「しゃんしゃん影法師」の、過去の風習と現代人の心の対立というほうが、個人的には好みだったりします。(今では形骸化してしまった)風習を本気で信じていた時代への懐かしさや憧れというものがあるからかもしれません。

 外山博美さん演ずる一郎くんが、純朴でまっすぐで、でもちょっと小生意気でよい味だしてました。

 板垣桃子さんの"少女らしさ"は見事で、まいっちゃいました。「博多湾岸台風小僧」で"ほいだらべ"を演った人とは信じがたいです。すげー♪

中村清春(誠司の叔父) 原口健太郎
中村一郎(清春の息子) 外山博美
中村源治(中村家の頭) 川田涼一
中村日出男(源治の息子) 桑原勝行
中村重行(清春の親族) 田尾健介
中村道子(重行の妻) 山本あさみ
中村裕樹(清春の親族) 小野瀬弥彦
中村るり子(清春の親族) 中井理恵
中村洋二(清春の親族) 深津紀暁
中村澄子(清春の親族) 椎名りお
中村本家最長老の恩婆 岡部和恵
中村本家最長老の恩婆 大手忍
 
不知火早智子 松本しゃこ
不知火浩輔(早智子の弟) 稲葉能敬
 
簗瀬誠司(清春の甥) 池下重大
瀬野霞(誠司の恋人) 川原洋子
 
--幻燈影絵「東亜」--
赤木コノミチ 鈴木めぐみ
赤木ドノミチ もりちえ
赤木ソノミチ 新井結香
 
虹色蜻蛉 板垣桃子
 
脚本 サジキドウジ
演出 東憲司
美術 塵芥
照明 Jimmy
照明操作 (株)FREEuWAY
音楽 川崎貴人
チラシ画 宮坂猛
チラシデザイン 山田武
写真 浅香真吾
舞台監督 松下清永+鴉屋
制作 劇団桟敷童子事務所
主催 劇団桟敷童子/財団法人武蔵野文化事業団

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座・キューピー・マジック 「ムーンライト・セレナーデ」

座・キューピー・マジック
23-Nov-2007 14:00~15:45
駅前劇場

Corich公演情報

071124a

...まだ携帯電話のないちょっと昔の恋物語。

 ちょっとひねりは効いてますが、ハッピーエンドで後味のよい恋物語でした。定番のジャンルですが、小劇場系だと、意外にも本作品のようなさわやかでシンプルな恋物語って少ないですね。

 劇団のキャッチコピーで
「ジャズのような、映画のような舞台が出来ました」
とありますが、今回の「ムーンライト・セレナーデ」、純一と留美の部屋が交互に入れ替わるところ、二人が同じ舞台に立って電話で会話するシーンなどは、とても映画的だと思います。

 舞台構成が面白いですね、下手側が純一の家、上手側が留美の部屋として、中央のリビングを共有させています。舞台セットは、毎回思うのですが、見ていて飽きない・住んでみたくなるような部屋になっていて感心します。

 留美役の神野恵子さんは、他人が演技しているときでも、演技に対応して表情がころころ変わるので、見入ってしまいます。相手の心を見透かしているような表情は絶品だと思うのです。

遠藤純一(美術教師) 田窪一世
手塚留美(女優) 神野恵子
水島加奈子 鶴屋紅子
太田美代子(純一の妹) 岡野佐多子
山崎節子(留美の姉) 山口智美
後藤美佐(留美の後輩) 保田麻美子
井上聖子(生徒) 嶋田奈津子
金子良夫 西山由希宏
篠原正人 中村卓也
警察官 市川裕隆
警察官 深谷賢
吉田聡美(生徒) 森田麻衣
木村文恵(生徒) 丸山千絵
 
作・演出 田窪一世
装置 向井登子
照明 高円敦美
音響 勝見友理
舞台監督 佐藤昭子
PHOTO ワタベマユミ
絵 小松修

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東宝「モーツァルト!」

東宝
23-Mov-2007 12:00~15:20 1F-M-29
帝国劇場

Corich公演情報

071123

役替わりは、
 ヴォルフガング・井上芳雄
 ヴァルトシュテッテン男爵夫人・香寿たつき
 アマデ・野本ほたる

 香寿たつきさん、男爵夫人としての風格十分。歌は文句無し。「星から降る金」は、この瞬間が永遠に続いて欲しいと願ってしまうほどのすばらしさ。

 野本ほたるちゃんのアマデは凛々しかった。井上芳雄ヴォルフガングとの相性もよさげ。

 山口祐一郎、2枚目の役よりも、こういういやらしい策士系の悪役(というか憎まれ役)のほうが似合うのでは。あの顔、あの体格で歌い声が高音だからそう感じるのでしょう(ヤクザ映画の金子信雄が、甲高い声がいやらしさを倍増させてるように)。

 コンスタンツェのhiroは、若くてかわいらしい戸川昌子みたいでした。主婦として何もできない風キャラは彼女に合っていると思います。舞台初挑戦ということなので、これからどんどん成長してゆくことでしょう。

 ナンネール・高橋由美子。「時代劇で貧乏人のおかみさんの役とか見たいな」と、ふと思ってしまった。

 終演後CDを衝動買い。名曲ぞろいだなあ。リピーターだと思いますがチケット売り場に並んでいる人多数。確かにリピートしたくなりますね。

【キャスト】
ヴォルフガング・モーツァルト 井上芳雄
コンスタンツェ(モーツァルトの妻) hiro
ナンネール(モーツァルトの姉) 高橋由美子
ヴァルトシュテッテン男爵夫人 香寿たつき
コロレド大司教 山口祐一郎
レオポルト(モーツァルトの父) 市村正親
セシリア・ウェーバー(コンスタンツェの母) 阿知波悟美
アルコ伯爵 武岡淳一
エマヌエル・シカネーダー 吉野圭吾
アマデ 野本ほたる
【アンサンブルキャスト】
秋園美緒 池田紳一
石田佳名子 大谷美智浩
碓氷マキ 小原和彦
樺島麻美 片根暢宏
河合篤子 KENTARO
後藤藍 島田邦人
鈴木智香子 砂川直人
徳垣友子 高原紳輔
鳥居ひとみ 武内耕
中山旦子 谷口浩久
松﨑芙莉杏 中山昇
やまぐちあきこ 松澤重雄
森田浩平 横沢健司
横田大明 
脚本・歌詞 ミヒャエル・クンツェ
音楽 シルヴェスター・リーヴァイ
演出・訳詞 小池修一郎
音楽監督 甲斐正人
美術 堀尾幸男
照明 勝柴次朗
振付 前田清実
歌唱指導 山口正義、小林仁
音響 大坪正仁
衣裳 有村淳
ヘアー・メイク 宮内宏明
舞台監督 廣田進
演出助手 小川美也子、末永 陽一
オーケストラ 東宝ミュージック(株)、(株)ダット・ミュージック
指揮 西野淳
翻訳協力 萬代倫子
プロダクション・コーディネーター 小熊節子
プロデューサー 岡本義次、坂本義和

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November 23, 2007

石神井童貞少年團小さな秋企画公演「ちょいとおすまし姉妹」

石神井童貞少年團
21-Nov-2007 20:00~20:30
名曲喫茶ヴィオロン

Corich公演情報

071121

約30分。

 喫茶店で働く妹と、解離性同一性障害の姉の話。3人の人格(女優、女給、女医)が順に、妹の働く喫茶店にやってきます。各人格は、他の人格を別の姉と認識しているようで、別の人格についてあれやこれや話したのち、"女給の姉"、"女医の姉"は最初に訪れた女優の姉を追いかけると言って店を出て行きます。姉は、どうやら父親と関係をもってしまったらしい(これが解離性同一性障害の原因かもしれません)。妹は喫茶店の2階で同棲中らしく、結婚を考えていることを姉に話します。妹のことをさんざんに言うそれぞれの姉でしたが、最後に3人の人格が同時に出現した姉が、妹への祝福の花束を持って登場します。

 花束のカードに書かれた「おめでとう」の文字が、いかにも精神的に病んだ人が書きそうな字体。なんだかんだ言いながらも妹の結婚を心からの祝福している「いいお姉ちゃん」。

当日パンフには
「普通の喫茶店のように過ごしていただいてもかまいませんし、もちろん芝居をしっかり観ていただいてかまいません」
とあります。開演前のアナウンスでも「出入りは自由、携帯電話の使用もOK」とのこと。

 ふらっと立ち寄った喫茶店でコーヒー飲んでたら、目の前でちょっとした騒ぎがおきたという趣向なんですね。自分たち、芝居の観客でありながら劇中の喫茶店の客でもあるという、不思議な雰囲気が味わえた30分でした。

20:00の回を観ましたが、観客は10人程度で、くつろいで観るのはちょうどよい。

蛇足ながら、ヴィオロンのコーヒーはおいしいなあ♪

店員 山田聡子
女優の姉 森田金魚
女給の姉 森田金魚
女医の姉 森田金魚
 
作・演出 森田金魚
演出助手 西入美咲・田中あや子・山崎祐子)
音楽協力 長谷川ふな蔵)
WEB担当 嶋本鳴子
宣伝美術 山田聡子

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November 20, 2007

バジリコFバジオ「AC/DC WORLD'S END SCHOOL GIRL!!!!!」

バジリコFバジオ
18-Nov-2007 19:00~21:00
ウエストエンドスタジオ

Corich公演情報

071118b


青森県七戯市(ナザレシ)に突如落ちたミサイル。
その原因は女子高生・蔵五十アコの性的妄想だった。
市民SNS(ハシエンダ)に出現した奇妙なコミュニティ、
隠れキリシタンと歪んだ創世記、
頻発する性犯罪、そして幾つかの殺人
……アコの謎を探る黒須ダイスケは
いつしか膨大な謎の迷宮を彷徨い始める。

 戸伝村(へでんむら)、2年前に七戯市と合併。気まぐれ桜という、いつ咲くのかわからない桜の木がある。隠れキリシタンの末裔が暮らしている。大昔、この村に地球外生命体がやって来たのだが、いつしかその生命体を神と崇める宗教が発生した。その後、日本にはいってきたキリスト教と結びつき、独特なキリスト教として発展したが、キリシタンへの弾圧は戸伝村にも及んだ。
 そして現代。
 救世主の復活を予言する恐山文書を妄信する眩田マリヤ。救世主の依代となる智天アコ。伝説の謎をさぐる黒須ダイスケ。

 仮想空間であったハシエンダと現実の境があいまになり、融合しはじめた世界...復活した救世主は、はやして現実の世界にやってきたのか、それとも仮想世界で誕生したのか・・・?

...っていうような話じゃないかと思うです。1回みただけではよくわからなかったりします。当日パンフには「...よくわからなかったら見返したりなんかしていただければ...」と用語解説が載ってますが、人物相関図や設定世界の説明なんかも欲しいですね。回収しきれていないネタもいくつかありましたね(笑)

 前半は蔵五十アコと湯田テツヲのラブコメで、演劇部員のアコが主役のミュージカルシーンがあったりするのですが、気がつけばミステリー&ホラーになってきます。

 ラスト、ハシエンダと現実世界が混沌となった世界で蔵五十アコは、前半のミュージカルシーンと同じ歌を歌うのですが、その明るい曲調のせいで、混沌となった世界の異常さが際立って感じられました。
 ミュージカルシーン自体が非現実的ですから、リアルな世界よりも異常な世界の方がミュージカルとは相性がよいのかもしれませんね。

 オープニングタイトルの映像はウルトラシリーズ風でよくできていました。何語かよくわからないタイトル曲もかっこよい。ミュージカルシーンは本格的。

 毎度おなじみの人形では、ガッツ星人とメトロン星人が可愛かった。救世主さん(?)はオームとプレデターのあいのこのよう。よくできてた。すごい。


 蛇足

 バジリコFバジオのWebページに掲載中の田中あつこさんの日記、毎回天才的な文章でお気に入り。
観劇前、AC/DCの内容についての記述が、あまりにぶっとんでてわけがわからなかったのですが、観劇後に再び読むと、いちいち納得、その表現は正しいと思わざるをえませんでした。やっぱり天才の文章だと思いました♪




戸出口キヨコ(七戯警察署刑事) 木下実香
眩田マリヤ(隻眼の高校三年生、スナック恐山ママ) 鈴真紀史(はえぎわ)
蔵五十アコ(高校一年生、演劇部員) 宮本奈津美(味わい堂々)
智天アコ(高校一年生、東京出身) 田中あつこ
天草クロウ(謎の男、自称都市伝説研究家) 豊田裕樹
四羽根アキラ(演劇部顧問) 近藤佳秀
湯田テツヲ(高校二年生、元高校球児) 三枝貴志
蔵五十十三(蔵五十アコの父、産婦人科医) 樋山剛一
カゼッタ金田(自称宇宙人) 玉川晋吾
卍丸(演劇部部長) 野仲真司(もざいく人間)
八鼓舞マサル(七戯警察署刑事、戸出口の上司) 中込恭史
アマデウス(観光に来たっぽい謎の少年) 横島裕(もざいく人間)
佐里エリ(観光に来たっぽい謎の関西弁の女) 百地香織
黒須ダイスケ(自称探偵、自称超能力者) 吉井俊輔
ノオ(援交してるっぽい謎の男) 武田諭
 
作・演出 佐々木充郭
照明 柳田充(LEPUS)
音響 筧良太(SoundCube)
映像 榎本健太郎
記録撮影 高円寺是盛
特殊小道具 丹波敬之・アルマジロウ
舞台美術 稲田美智子
舞台監督 西廣奏
当日運営 田辺恵瑠
人形制作・宣伝美術 木下実香
WEB制作 武田論

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劇団吹きだまり「終わりよければ、すべてよし」

劇団吹きだまり
18-Nov-2007 13:00~14:40
銀座みゆき館劇場

071118a


ここはひまわり総合病院。
募金箱のお金が消えた。患者の桜田・梅川そして医師の大田原は捜査班を結成する。

 とにかくわかりやすい。多分、お弁当食べながら見てても、ちょっとくらいよそ見していても、絶対わからなくならないだろーなと思います。人情喜劇の王道といえるかもしれません。声も動きも大劇場での商業演劇のようで、これを小劇場で見ると、過剰にわかりやすくなるのだなあと、ヘンなところで感心しちゃいました。

 ベテランの皆さんは、(どこで見たかは思い出せないけれど)どこかで見たことがある方ばかり。大島信久さんって、名前は存じ上げませんでしたし、写真みてもわかりませんでしたが、あの動きは見覚えがありました(笑)

 チラシの写真ではわからなかったのですが、峰岸綾子さんと鶴岡睦美さんも、見たことのある方でした。パンフやチラシ用の写真、若い頃の写真を使うのはかまわないですが、せめて同一人物だとわかる程度には撮り直してほしいよなあと思ったりして(笑)

 銀座みゆき館劇場は初めて。こんなところに劇場あったんだという軽い驚き。今まで何度も前を通ったことあるはずなのに気がつかなかったなあ。

院長 小泉収
大田原医師 大島信久
師長 野水佐記子
川上(事務局長) 松本健
柿本(看護師) 伊藤尚輝
立花(看護師) 小林雅子
片山(職員) 遠藤圭祐
桜田桃子 峰岸綾子
梅川咲子 鶴岡睦美
芥川伯爵 清川正廣
浜中美希 鯉淵加奈子
笹原 横山健吾
江尻飛出雄 山口勝久
 
作・演出 大島信久
舞台美術 孫福剛久
音響 井出比呂之
照明 島田雄峰
舞台監督 渋谷八兵衛
音響OP 佐藤恭子・山本貴詞
照明OP 江藤弥生
宣伝美術 山本政保

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「恐れを知らぬ川上音二郎」

東宝
17-Nov-2007 13:05~14:10 1F-12-1
シアタークリエ

Corich公演情報

071117b

 緻密に計算された…っていうのではなく(この点は期待はずれでしたが)、まさに「川上音二郎一座の芝居」のような舞台。
いかにも商業演劇らしい、老若男女が安心して笑えて楽しめる舞台でした。"安心して笑える"というのは、精神衛生上、とてもよいことだと思います(笑)

 観客巻込んでの劇中劇「ヴェニスの商人」は楽しい。
六時半開演で、気がつけばもうすぐ十時。三時間飽きさせない手腕はすごいと思います。

 12列1番の席だったので、役者さんの出入りが間近で見られて、良い席でした。大野熊吉(阿南健治)が何度も舞台から走ってきて、目の前で扉外に飛び出していきましたが、けっこうなスピードで迫力あり(笑)

 津軽弁の堀内さん、片言の日本語の瀬戸さんがツボでした。

 さて、シアタークリエですが、"地下鉄大江戸線のホームみたいなロビー"とは言いえて妙だと思いました。円筒の一部みたいな天井で圧迫感がありました(天井に空の絵でも描けばいいじゃんね)。通路も狭いですが、昔の映画館なんてこんな狭さじゃなかったかなあ。休憩時に、トイレ並びと売店並びでロビーに人が集中しちゃうから、途中休憩のない一幕モノの芝居が適しているのでは。
 座席も決して広くないですが、お向かいの東京宝塚劇場に比べれば、多少広いんじゃないでしょうか?東京宝塚劇場のように1フロアがまるまるロビーになってたらよかったのに。

 あと、クリエちゃんグッズが欲しいかも。ぜひ、作ってくださいな♪

川上音二郎 ユースケ・サンタマリア
川上貞 常盤貴子
助川タエ 戸田恵子
伊達実 堺雅人
甲本与之助 堺正章
津田山蔵人 浅野和之
飯尾床音 今井朋彦
伊東カメ 堀内敬子
大野熊吉 阿南健治
小村寿太郎 小林隆
ホイットモア夫人 瀬戸カトリーヌ
野口精一 新納慎也
綿引哲人 小原雅人
ヘンリー・アーヴィング ベーカー・ウィリアム・ヒュー
 
脚本・演出 三谷幸喜
美術 堀尾幸男
照明 服部基
衣裳 黒須はな子
音響 井上正弘
ヘアメイク 河村陽子
邦楽 杵屋五七郎、鳥羽屋長秀
音楽 荻野清子
プロダクション・アソシエイト 佐藤万里
舞台監督 松坂哲生

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November 18, 2007

ジェットラグプロデュース「呪い」

ジェットラグ
17-Nov-2007 13:05~14:10
新宿ゴールデン街劇場

Corich公演情報

071117a

呪いにまつわる話、二題。

オープニング
幽霊?(黒坂真美)の携帯の「電源をお切りください」アナウンス

その1
 妻(竹井亮介)は夢のなかで阿藤快と浮気している。夫(小林健一)は、やはり夢のなかで綾戸智恵と浮気している。夢のなかの浮気が原因で二人は別れるのだが、実はこれ、「呪い屋(黒坂真美)」の仕業だった...

その2
 寿司屋でいなり寿司をバカにした男(竹井亮介)が朝起きると、いなり寿司になっていた。いなり寿司の呪いを解こうと恋人(黒坂真美)と警官(小林健一)は考える...

 ちょいとシュールなコント風、この雰囲気は好みです。登場人物が少ないので新作落語にしても面白そうな話だと思います。"大笑い"というより、思わず"クスクス"と笑ってしまう舞台で、新宿ゴールデン劇場という、ちょっとひねくれた場所にあっていたのじゃないでしょうか?

 オープニングは、観劇中に携帯を鳴らしてしまったことを苦に自殺した女性の幽霊が「観劇中に携帯鳴らしてゴメンナサイ」と懺悔をします。面白い趣向ですね。

 1話と2話は全く別の話でしたが、何か繋がりをもたせて、ラストでその繋がりを明らかにするのも面白かったのでがと思います(実は、そういうラストじゃないかと予想しながら見ていたので...)。
 1時間と短めの舞台。もう1話加えて、三本立て1時間半もありだったかと思います。

小林賢一さん・竹井亮介さんのお二人は、アドリブも含めて変幻自在で面白いです。黒坂さんは脚本・演出に忠実に演じている感じでしたが大健闘だと思います。男優二人並にアドリブができたら、さらにすごい舞台になっただろうなあ。

 黒坂真美
 小林健一
 竹井亮介
 
作 徳井義実(チュートリアル)
演出 福原充則(ピチチ5)
照明 河上賢一(La Sens
音響 泉田雄大
舞台監督 橋本慶之
人形制作 笹野茂之
照明OP 菊池伸枝
宣伝美術 冨田中理(selfimageprodukts)
当日運営 たけいけいこ、三村里奈(MRco.)
制作 ジェットラグ
プロデューサー 阿部敏信

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LiveUpCapsules「ざっぱぁ~ん」

LiveUpCapsules
16-Nov-2007 19:30~21:00
サンモールスタジオ

Corich公演情報

071116


瀬戸内海を縄張りとした、日本の海賊の話。
権力を与えられて、平和に瀬戸内海を治めていた海賊たち。しかし、とある戦いで大将の跡継ぎ息子が連れ去られてしまった!自分たちが生きるため、生き残るために戦い続ける海賊たち。はたして無事に跡継ぎ息子を奪還できるのか!はたして、海賊たちに平穏な日々は訪れるのか!

この海賊、どうやら村上水軍のようだ。モーリーとは毛利元就。織田信長の鉄船との戦いで、行方不明となった水軍の大将・武は朝鮮に捕らえらた。やがて信長は死に、秀吉の時代へ。"海賊禁止令"が発布され、行き場を失った村上水軍だったが、"朝鮮出兵(文禄・慶長の役)"に活躍の場を求める...

 前半は青くさい感じがしますが、ラスト約20分間は、耽美で幻想的でちょっとアングラ風な世界で、かなり好みでした。
漂流して捕虜になった海賊・武を朝鮮の姫・モランが恋してしまうくだりはサロメみたいで面白い。最後に武はモランと口づけをしが、モランの舌を噛み切って逃走します。モランの口から血が噴出す姿を、赤い花びらを撒くと同時に天井から真っ赤なビーズを降らせて表現する場面は妖しく幻想的で綺麗でした。

 海賊の話ですが、みなさん色白だったりポチャっとしていて、見た目が都会の若者なのは最後まで違和感あり。やっぱり海賊には日に焼けて黒く筋骨隆々としているべきじゃないだろーか。(筋トレするとか、日焼けサロンに通うとか、しないのかなあ...)
 でも、ラストシーンを見たら、「すべて許す」って気になりました。

 朝鮮に武が捕らえられた場面で、2ヶ国語放送のようなセリフの同時通訳のくだりは笑いました。正しいのかよくわからない韓国語がいつしか日本語にかわっていたりして(笑)

 モランに対し密かに好意を寄せている下僕のボウ役の多田無情さん、月蝕の岡崎さんだと思うのですが、月蝕で見るよりも俄然面白かったし、存在感がありました。

 舞台を挟み両面に座席。目の前での殺陣は迫力あり。っていうか最前列だったのでちょっと恐かったデス(笑)

シュン 大口達也(カリフォルニアバカンス)
シン 飯田元子
モラン 辻麻由(ボーナストラック)
ホウ 多田無情
 
武 福原冠(活劇工房)
義 小松良和
雅 柴下賢二
 
元 弾☆NOW
資 岡本篤(劇団チョコレートケーキ)
充 石川尚(三畳半劇場)
亮 二宮則子(カカフカカ企画)
 
顕 石山憲一
通 山内翔(箱庭円舞曲)
 
モーリー ヤナカケイスケ
 
作・演出 村田裕子
舞台監督 吉田慎一(Y's factory)
舞台美術 鎌田朋子
照明プラン 今西理恵(LEPUS
選曲 岩☆ロック(岩☆ロック座)
音響プラン 長谷川ふな蔵(石神井童貞少年團)
衣装 横井雅子
殺陣指導 小黒正美
宣伝美術 中村有以
WEB協力 後藤さおり
写真撮影 佐藤太志朗(office道々楽者)
制作 がっつさん・LiveUpCapsules

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November 15, 2007

第11回 せめ達磨アパッチ

せめ達磨
13-Nov-2007 19:30~21:30
なかの芸能小劇場

三遊亭玉々丈「フェみ合い」
立川らく里「警視庁24時」
三遊亭ぬう生「ホスト座敷童子」
林家彦いち(ゲスト)「青畳の女」
~お仲入り~
三遊亭天どん「授業参観」
林家きく麿「甘い水」

ゲストの彦いち師匠「青畳の女」を除き、すべて新作ネタおろし。

 新作5本のうち、一番面白かったのは、ぬう生「ホスト座敷童子」でした。登場人物のキャラがはっきりしていて、しかもちゃんと演じ分けられているから自然に映像が浮かんできます。らく里「警視庁24時」・きく麿「甘い水」では、男女や大人子供の区別は分かっても、どんな性格なのかはいまひとつわからない。

 古典落語ならば、大家さんや与太郎に熊さん八っつぁんと、定番キャラが居て、聞く側にとっても周知のキャラであるから無問題なのだけれど、新作では聞く側にとっては未知の登場人物だから、ちゃんと人物設定をして、説明しなくても喋り方や表情で、どんな人物なのかわかるように演じ分けないといけないと思うのです。

 さて、これを逆手にとったのかどうかはわかりませんが、天どん「授業参観」は、"定時制の教師と生徒、実は親子"という噺で、、登場人物のキャラを意図的に不明確にして、観客を混乱させる戦略をとったようです(ほんとかな?)。

 なお、"熱血落語家"彦いち師匠の高座は、先週見た桟敷童子の舞台と同じくらい熱かったです。
座布団を巴投げ(っていうか回転地獄ころがしだっけ)しながら舞台袖に引っ込んでいきました(笑)

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November 12, 2007

ルドビコ★「彩遊記」

ルドビコ★
11-Nov-2007 17:00~20:30 1F-E-9
シアターVアカサカ

Corich公演情報

071111b

 完全エンターテイメント系アクションミュージカル♪

 ダンスシーン多い。ラストの殺陣はたっぷり。ミュージカルシーンは少ないですが、上谷佳澄以外のメンバーはちょっと音域に難ありな気がしなくもないので、ちょうどよいかもしれません。悟空たちの道行の場面の歌はいい曲でしたね。

 客演陣がバラエティに富んでいて楽しいです(ダンサーにアイドルに元宝塚)。那侘三太子役の夏空李光さん、さすがは元宝塚男役のかっこよさ。役は男でもビジュアル的には女性なので女剣士風でした。

 今里真さんの"踊る三蔵法師"はツボ。あいかわらず声がよい。長セリフは聞き入っちゃいます。

 斉藤友以乃さんと他のダンサーが一緒に踊ってるシーン見ると、ダンサーとしての魅せ方と、アイドルとしての魅せ方は全然違うことがわかって面白い。

 2幕構成、75分+60分、15分休憩あり。物販のための15分という気がしなくもないですが、通しで2時間超は、見る側もキツいですから、2幕に分けるのは正解だと思います。

 ラスト、魂と体が入れ替わってしまうくだりは、急展開すぎて頭を整理する間がないので混乱したままEndingになってしまう。整理するだけの時間、もしくはわかりやすく解説するシーンがあればなあ。せっかく2幕構成にしたんだから、2幕目がもう少し伸びても構わなかったのじゃないかな。

 千秋楽でしたが、有料パンフもブロマイドもすでに完売とのことでした。最初から買うつもりは無かったのですが、"すでに完売"と聞くと、「なんだ、せっかく買おうと思ってたのに」と捨てセリフのひとつも言ってみたくなります(笑)

 宮島さんが結構泣かせる役でした。ルドビコのリーダーさんだそうで...
来年はシアターアプルとのこと。大躍進ですが、大丈夫かな♪
大きい劇場で思う存分暴れてくださいね!

孫悟空 桜木さやか
沙悟浄 林修司
猪八戒 宮島幸春
三蔵法師 今里真
龍馬太子 高柳俊之
那侘三太子 夏空李光
牛魔王 清水順二
羅刹女 上谷佳澄
紅孩児 Luke.C
金角 伊能理恵
銀角 MARCO
銅角 加藤学
玉面公主 関鐘美
玉花公主 斉藤友以乃
玉兎公主 飛鳥凛
 鴇田智美
 山本絢子
 佐倉忍
 田中夕帆
 天野博一
 北島裕史
 駒沢伸彰
 山舗和広
 
作・演出 桜木さやか
舞台監督 堀吉行(DDR)、井上卓(DDR)
照明プラン 樋口かほる(六工房)
照明オペ 唐沢千弥子(六工房)
音響 ヨシモトシンヤ(Sound Cube)
アクションサンプラ 伊藤裕貴(TeamAZURA)
音楽 奥村健介、久坂真生
舞台美術 吾郷順治(A.G.O)
衣装 森田陽平(筋肉衣装屋)
大道具 ステージファクトリー
衣装助手 渡邊あつこ
小道具制作 湯田昌次(湯田商店)
かつら ㈱アトリエレオパード
宣伝美術 沓掛章子
映像 佐々木孝憲
DVD撮影 竹村文彦
殺陣振付 TeamAZURA
中国武術指導 上田一成
ダンス振付 伊能理恵
制作 おかのますこ
制作統括 佐山泰三
企画製作 ルドビコ★

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「吉例顔見世大歌舞伎」昼の部

松竹
11-Jun-2007 11:00~16:05 1F-16列-24
歌舞伎座

Corich公演情報

071111a

一、種蒔三番叟(たねまきさんばそう)
二、傾城反魂香(けいせいはんごんこう)
    土佐将監閑居の場
三、新歌舞伎十八番の内 素襖落(すおうおとし)
四、曽我綉侠御所染(そがもようたてしのごしょぞめ)
    御所五郎蔵

"土佐将監閑居の場"
吉右衛門の"又平"と芝雀の"おとく"とのやりとりが絶妙。

"御所五郎蔵"
仮花道寄りの席だったので、五條仲之町の場では仁左衛門の五郎蔵をたっぷり拝見させていただきました。

「晦日に月の出る廓(さと)も、闇があるから覚えていろ」

が聞けて満足なのでした。

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劇団桟敷童子「博多湾岸台風小僧」

劇団桟敷童子
10-Nov-2007 19:00~20:57
吉祥寺シアター

Corich公演情報

071110b

 吉祥寺シアター、階段上り口に鳥居、葦簀と幟でロビーも桟敷童子色で、場内は竹林と彼岸花で左右の壁が覆われていて、ここはホントに吉祥寺シアターか?目隠しさせられて座席までつれてこられたら、どこの劇場か絶対にわからないでしょう(笑)

 最下層の民と金持ち・権力、労働者と経営者の対立の構図はベタだし、わかりやすすぎるけれど、それだけに強いたげられてきた人物の叫びがストレートに響いてきます。

 クライマックスの屋台崩し、床が動くと風が起きるんですね(あたりまえですが)。そして一面の彼岸花の赤色の鮮やかさ。芝居の熱さはもちろんですが、視覚でもカタルシスを与えてくれるのだからたまらないですね

 板垣桃子さんのかっこよさは言わずもがな。出番としてはそれほど多くないけれど、登場したときのインパクトは強い。もりちえさんのキップのよさも印象に残りました。


蛇足

開演前後のBGMがドリフだったのはなぜだろう(笑)ズンズンズンズンズンズンドッコ♪

あの日の姉 川原洋子
あの日の弟 中井理恵
 
雑魚部倉雄(ざこべくらお) 池下重大
知恵足らずの元女郎 知恵坊 外山博美
 
墓陰長屋の元締め 茶山ミツ 鈴木めぐみ
墓陰長屋の住人 参苧堀(さんちょぼり) 朱源実
墓陰長屋の住人 篠篠(しの) もりちえ
墓陰長屋の住人 でっちゅ 小野瀬弥彦
墓陰長屋の住人 チン 稲葉能敬
墓陰長屋の住人 テンプク 原口健太郎
墓陰長屋の住人 コスケ 星耕介(Oi-SCALE)
墓陰長屋の住人 椎名りお
墓陰長屋の住人 岡部和恵
墓陰長屋の住人 大手忍
戻し屋 土井垣 川田涼一
戻し屋 鮫島 桑原勝行
戻し屋 一乃橋 田尾健介
戻し屋 猫田 深津紀暁
 
官憲隊隊長 深津紀暁
 
脱走女工 鯨場(くじらば) 山本あさみ
脱走女工 蘇(はる) 松本しゃこ
脱走女工 夕依(よい) 新井結香
 
ほいだらべ 板垣桃子
 
脚本 サジキドウジ
演出 東憲司
美術 塵芥
照明 Jimmy
照明操作 (株)FREEuWAY
音楽 川崎貴人
チラシ画 横岳由紀子
チラシデザイン 山田武
写真 浅香真吾
舞台監督 松下清永+鴉屋
制作 劇団桟敷童子事務所
主催 劇団桟敷童子/財団法人武蔵野文化事業団

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「海と日傘」

あうるすぽっと柿落とし公演
10-Nov-2007 14:00~15:45 1F-G-17
あうるすぽっと

Corich公演情報

071110a

 あうるすぽっと?落とし公演。新しい劇場は気持ちが良いです。ロビーがやけに広かったなあ。

 あまり売れていない作家の夫(平田満)と、その妻(竹下景子)の話。
妻は余命三か月。作中では病名は明らかにしてないけれど、歌の歌詞がでてこなかったり、大家さんの頭の怪我の話を挿入していたところをみると、多分脳腫瘍か何かだと思われます。

 最後の雨上がりの虹のなかで、日傘をさす真似をする妻。この虹も、ひょっとすると病気のために見た幻影かもしれませんね。

 竹下景子さんの扮する妻が、とにかく明るくて可愛らしい。だから時折見せる死期を悟ったかのような言動が際立ってきます。そのたびに見ていて涙が出そうになります。

 劇中、食事をする場面が多いです。寝ている妻と話しながら茶漬けをすする場面、薬を届けに来た看護婦さんも交えての夕食。そして最後は妻の葬儀の夜。初めて、夫はたった一人で食事をとります。静かに食事をしているだけの場面なのに、泣けてきちゃいますね。
 きっと夫の心には、可愛らしい妻の姿だけが思い出として残るのでしょう。雨上がり、妻は夫に「私のこと忘れないでね」と言います。可愛らしくも涙をさそう一言でしたね。


 ロビーには竹下景子さんあての花がいっぱい。檀れいさんからの花あり。麻実れいさんからの花もありました。おふたりとも名前が「れい」なのですね。姓名セットで覚えているせいでしょう、今まで気がつきませんでした(笑)

佐伯直子 竹下景子
佐伯洋次 平田満
柳本滋郎 関輝雄
瀬戸山しげ 山本道子
瀬戸山剛史 鴨川てんし
多田久子 藤本喜久子
吉岡良一 大竹周作
南田幸子 頼経明子
 
作 松田正隆
演出 高瀬久男
美術 島次郎
照明 沢田祐二
音響 藤田赤目
衣装 前田文子
舞台監督 井川学
宣伝美術 マッチアンドカンパニー
宣伝写真 今井智己
プロデューサー ヲザキ浩実
主催 豊島区(財)としま未来文化財団
企画製作 あうるすぽっと

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B-amiru「カタコト革命軍」

B-amiru
9-Nov-2007 19:30~20:45
OFF OFF シアター

Corich公演情報

071109

 先日、表現さわやかの「ポエム」を見まして、その後、「猫のホテル」のオフィシャルブログを覗いてみたところ、隣のOFFOFFシアターの公演もオススメとのことでしたので、さっそく行ってみることにしました。

女性3人のオムニバスコント。

カタコト革命軍
まともな日本語もろくに話せないレディーズ三人組が初めての海外旅行で戦争にまきこまれて、こともあろうに戦争の仲裁をしようとして...

どりい夢ガールズ
ドリームガールズで、ディーナにセンターをとられたので、エフィがグループをやめてしまうくだりのパロディ。

シェルター
学校の保健室。自分はいじめられているという被害妄想の帰国子女の生徒が今日もやってきた...

B-amiru版 江小戸川乱歩の幽霊塔
幽霊塔の時計台の巨大オウムを盗み出そうとする黒蜥蜴と明智小五郎の対決。

KKKコスプレの社長
制服がKKKのコスプレな会社。

イチキ游子 一人芝居
桃井かおりみたい。

渡り鳥のはなし
ちょっとしんみり、よい話。

初見でしたが、どうしてもっと早く出会っていなかったんだろうと思わせる面白さ。

 どりい夢ガールズのダンスは、まんまドリームガールズだし、幽霊塔の明智と黒蜥蜴のタンゴも決まっていて、コントといえど、ダンスシーンをビシッっと決めてくれるのがとてもうれしいです。

 幽霊塔では、イチキ游子さん扮する明智小五郎が出色の出来。春野寿美礼もビックリ(笑)の男役芝居でした。もういっぺん、というか長編一本モノでイチキ版明智小五郎を見てみたいですね。

 岩島もも
 小林由梨
 イチキ游子
 
作・演出 イチキ游子
舞台監督 村田康二
照明 森規幸(balance inc.)
照明操作 しもだめぐみ
音響 宮崎淳子((有)サウンドウィーズ)
美術協力 西廣奏
宣伝美術 新海雄太郎
映像 仲道哲二
映像編集 保土田浩史
映像操作 萩原未来
制作 イマジネーション、森千江子、生形詩野、牛島康子

カタコト革命軍

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November 08, 2007

繭から10

絹産業
7-Nov-2007 19:30-21:30
しもきた空間リバティ

071107

立川志の吉
神田京子

■オープニング
順番決めジャンケン
チョキとパーで志の吉の勝ち。

■トーク
立川志の吉
「はじめてのバリウム。朝イチで胃のレントゲン。残りの検診は午後だったので床屋にいったら、散髪の最中に下剤が効いてきてタイヘンタイヘンだった話」

神田京子
「台風のなか東京~秋田を往復してタイヘンタイヘンだったけれど、JAL寄席で志の吉「寿限無」が流れていたぞっていう話」。

■新作
志の吉「寿限無(改)」
神田京子のトークでの"JAL寄席での「寿限無」"を受けて「寿限無(改)」

神田京子「寸分違わぬ-河童の事」
京極夏彦「寸分違わぬ-河童の事」のパロディというか講談版。
黄桜の歌やら河童の仕草が面白い。見てて面白い講談師さんだよなあ。

■古典
志の吉「看板のピン」
親分のマネをする仕草と口調が可笑しかったです。微妙にヤンキー風というか、こーゆーマネの仕方もあるのだなあと感心。

京子「勘介島由来」
言い間違いや、なんとなく違うんじゃないかっていう言葉使いがあったり(←どこが違うか指摘できないけど、なんか違うような気がする)、でもそれがなんだかご愛嬌になっちゃうキャラというのは強いです(笑)。とにかく明るい高座です。これは天性のものだと思います。

■エンディング

繭からシリーズのラスト。お二人も売れてきて、そろそろ繭をやぶって…ということなんでしょう。
実験的な試みもあったりして面白い会だったので、ちょっぴり残念です。

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November 05, 2007

表現さわやか「ポエム」

表現さわやか
4-Nov-2007 18:30~20:30 C-12
駅前劇場

Corich公演情報

071104b

 「空調の下は冷えますのでブランケットを用意してあります」とのアナウンスがありましたが、そのために温度を高めに設定していたのか、
はたまた単に座った場所が暑い席だったのか、ちょっと暑くてボーっとしちゃいました。
お約束系(と思われる)ギャグシーンが多かったように思います。猫のホテルの舞台を普段から観ている人向けかも。

全体にゆる~い時間で進みます。腹かかえて笑うっていうより、リアルタイムで思い出し笑いしているような舞台。
舞台上のリズムと、自分の睡眠のリズムが同調しちゃったようで中盤はウトウトしてしまいました。
自分的には、ベタでもいいからもうちょいテンポがよいか、もっとシュールでブラックなほうが好みではあります。

村上航さんの一人芸は面白すぎ。

パンフ1500円は。チケット代と比べると高いなと思いつつ、装丁が綺麗でCD-ROM付なら納得か。
CD-ROMにはパソコン用壁紙、映像(稽古場風景、予告編、対談)
パンフは「表現さわやか派」の機関誌風。出演者のポエムが掲載。帰りの電車で佐藤貴史氏のポエムを読み、思わず吹き出してしまいましたよ。

片岡 佐藤貴史(サモ・アリナンズ)
ミミ 柳沢なな
野茂 岩本靖輝
セミ 佐藤真弓
NTTのおじさん いけだしん
諸味先生 村上航
大森先輩 池田鉄洋
 
脚本・演出 池田鉄洋
舞台監督 宇野圭一+スズキサオリ
舞台美術 秋山光洋
照明 櫛田晃代
音響 田上篤志(atSound)
衣装 松本夏記(ミシンロックス)
映像 ♀GUCCI♂(帝斗創像)
振付 波多雅子
演出助手 福本朝子
演出部 戸田美江、津江健太
小道具 埋橋真理、高津映画装飾
衣装助手 嶋田亜夕美
映像操作 挽野洋平
大道具製作 C-COM
宣伝美術 ATG unlimited
ヘアメイク協力 岸田直子
制作協力 金田明子
制作 那須みちの、森浦夏恵
主催 猫のホテル

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風琴工房「砂漠の音階」

風琴工房
4-Nov-2007 14:00~16:45 B-7
シアター風姿花伝

Corich公演情報

071104a

 研究成功の話ではなく、研究に成功した日の研究者の話というのがいいよなあと思います。

 大義名分よりも単純に興味をもったからという研究動機、研究上は五角形十分なのに、うつくしさを求めて六角形の人口結晶にこだわる姿、(動物愛護団体が聞いたら怒りそうな)ウサギの耳を使った実験を楽しそうに話すあたりは、科学者(研究者)の本質をうまくあらわしていると思います。やたら大げさで熱い研究員たちも、きっと研究に夢中で気分がハイになっているんでしょうね。

 芝居的にはリアルではないかもしれませんが、心持はものすごくリアルだなと思うのです。

彼らが夢中になっていろいろなことを語り合う姿を見ていると、こちらもワクワクしてきます。
初演見て、今回再演も見ようと思ったのは、きっと、このワクワク感を味わいたかったからだと思います。

 津島と中谷が二人で雪の話をしていると、雪が降ってきます。舞台正面の窓の外を眺めながら「雪が降ってきた」と言うだけでなく、ホントに雪を降らしてほしかったかも。

 津島が去り佐田が一人残るラストシーンは一切の音がありませんが、外では雪が深々と降り積もっているのですね。

 中谷先生がビーカーに入れた紅茶を静子さんと津島さんにすすめる場面も面白いです。静子さんの着物の帯の柄(確かガス灯と橋の絵だと思いましたが)、何故かアルコールランプと実験器具に見えてきました(笑)


----初演との違いについて----

低温実験室の位置が、舞台下手から舞台中央花道の奥に移動。

 初演時、関川から実験の成功の知らせを聞き、全員が低温実験室へ向かったあとで、舞台中央の窓が開き、低温実験室で人口結晶を観察するシーンがありましたが、今回はそのシーンはありませんでした。効果音をバックにセリフ無で観察するシーンはきれいで印象には残っています。ただラストシーンだと思ってしまい、その後の話がとってつけた話のように感じなくもなかったです(素敵なシーンですが)。その点、今回のように研究室だけで話がすすむと流れが自然ですね。

 今回無くなったシーンでもうひとつ。山崎が、「いっぺんやってみたかったんだ」と、ツララでウィスキーを飲むくだり。確かに無くてもよいシーンだとは思いますが、当時、心の中で「うんうん、そうだ。やってみたいよなあ」と共感したセリフでした。無くなって残念♪

 中谷先生と旧友山崎は、ぱっと見、初演とはまったく違うキャラなので、初演の印象が邪魔しないか心配していたのですが、まったく違和感がありませんでした。

----シアター風姿花伝への心の距離を縮めて行こうよプロジェクト----

こういうイベントがあると生き帰りも楽しくてよいですね。
初めて行く劇場だったので早めに行ったところ、道にも迷わず開場の20分前くらいに到着。
近所ぶらぶらしましたが、ちょっと路地に入ると迷路のよう。住宅街に小さな公園が散在していて面白い町ですね。

中谷先生を連れて行って、おはぎをいただきました。中谷センセーも一緒にいただきました♪
甘さ控えめ素朴な味のおはぎでおいしかったです。

071104c

中谷宇吉郎 山内健司(青年団)
中谷静子 松岡洋子
津島和江 笹野鈴々音
関川弥太郎 浅倉洋介
佐田新之介 北川洋介
宮内喜夫 山ノ井史
河合久子 宮嶋美子
山崎誓作 小高仁
 
脚本・演出・衣装・宣伝美術 詩森ろば
舞台美術 杉山至+鴉屋、濱崎賢二(六尺堂)
照明プラン jimmy(フリープラン)
照明オペ 田原聖子
舞台監督 弘光哲也
スチール 鏡田信幸
演出助手 木内美帆、津田湘子
舞台監督助手 渡辺景介
制作 森岡鞠子
企画・製作 ウィンディ・ハープ・オフィス

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ミュージカル「蜘蛛女のキス」

宝塚クリエイティブアーツ
3-Nov-2007 18:30~21:35 2F-E-40
東京芸術劇場 中ホール

Corich公演情報
071103

 南米の刑務所を舞台にしたラテンのミュージカルだからか、ラテンの曲のもつ明るさと刑務所の暗さが同居していて、さらにモリーナとヴァレンティンの愛による甘美な空気も漂っていて、いかにも荻田浩一の世界っぽい。

 最初はどのような作品なのか、さぐりながら見ていたのですが、ヴァレンティンの世話をするモリーナが可愛らしく見えてくたあたりから作品世界に引き込まれました。

 モリーナとヴァレンティンの心が通い合い、二人で映画の話をする場面は実に楽しそうで、舞台が刑務所であることを忘れてしまいそうになります。しかし、モリーナが出所した後に残るのは孤独で暗く救いの無い"現実"のみ。出所したモリーナも厳しい現実のなかで命を落とすことになります。

 ラストのミュージカルシーンは、死んでゆくモリーナが見た最後の夢かもしれないし、現実から解き放たれて自由になったモリーナの魂が見ている夢かもしれない。

 朝海ひかるさん、男役時代そのまんまの低音でしたが、「あれ、こんなに歌上手い人だっけ?」と感じました。同じ声の低さでも、男役としての歌い方と女性としての歌い方って、違うのかもしれません。浮世離れした不思議な雰囲気を漂わせていました。

 朝海ひかる目当てで観に行った舞台でしたが、モリーナ(石井一孝)が絶品。健気だし可哀想だし...ホントに泣けるですね。

モリーナ 石井一孝
蜘蛛女/オーロラ 朝海ひかる
ヴァレンティン 浦井健治
モリーナの母 初風 諄
刑務所長 藤本隆宏
マルタ 朝澄けい
ガブリエル/囚人カルロス/ダンサー 縄田 晋
看守マルコス/ダンサー ひのあらた
看守エステバン/ダンサー 伊藤明賢
アウレリオ/囚人ライモンド/ダンサー 照井裕隆
囚人フェンテス/ダンサー 笹木重人
囚人エミリオ/ダンサー 長内正樹
囚人/ダンサー 山田洋平
 
原作 マヌエル・プイグ
脚本 テレンス・マクナリー
作詞・作曲 ジョン・カンダー&フレッド・エッブ
演出・訳詞 荻田浩一
音楽監督 玉麻尚一
美術 二村周作
照明 笠原俊幸
音響 実吉栄一
衣装 朝月真次郎
振付 名倉加代子/平山素子
映像 奥秀太郎
ヘアメイク 中原雅子

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November 03, 2007

あなピグモ捕獲団「東京ハニロボ」

あなピグモ捕獲団
1-Nov-2007 19:30~21:00
スタジオあくとれ

Corich公演情報

071101

これは不条理系コメディなのかな?


 東京タワーをめざして、初めて東京にやってきた夢野幻(石井亜矢)は、山手線の某駅でカバンを盗まれてしまう。一文無しになった夢野は駅のキオスクで働き始める。そして仕事のかたわら小説を書き始める。タイトルは"東京タワー"。その小説を買ったのは国木田独走(為平康規)。その小説の内容とは...

 空港の手荷物検査場。カバンの中身を見られることを拒む男・大和武(久米靖馬)と、力ずくで検査をさせようとする検査員の照山終(ますだようこ)。その上司・海原昭仁(力武修一)

 そして現実の世界と小説なかの世界が交錯しはじめて...

 どうやら夢野幻は、もとは地方の小説家だったが、行詰って書けなくなり出版社からも見離された後に東京にやってきたらしい。
 小説のなかの登場人物・中条アリス(神崎友里)が「ピクニックに行きたい者、この指とまれ」と人差し指を立てる。その指は、東京にそびえたつ東京タワーのよう。

 ピクニック...それはどこかへ行くことが目的じゃなくて、ピクニックすることが目的...ピクニックは現実からの大脱走...現実の世界の人間も小説の世界の人間も入り乱れてピクニック。どこに行くのかわからないけれど、なんとなくその中心には東京タワーがある。

 彼ら(彼女ら)の様子をアリスは「ハニってる」「ロボってる」という。どんな意味かと尋ねると、意味なんかないと答える。

 夢野は自分の小説のタイトルを書き換える「東京タワー」から「東京ハニロボ」へ。

 ...っていう話じゃないな?不条理でまとまらないのです。

 「東京ハニロボ」って何?新しい東京みやげのお菓子ですか?ってことなのだけれど、「ハニる」だの「ロボる」だの、googleで検索すると実際に使われていたりしますが、同じ意味ではないように思えるし、ひょっとしたら単に音の響きだけで選んだ言葉なのかもしれません。恐らく、この物語の登場人物たちの状態こそが「ハニって」いたり「ロボって」いることなのだろうと思うです。

 国木田が「ハニロボって、なんだそりゃ?」というようなセリフで幕となります。不親切にも何の解答もせず(気持ちが良いくらい)ストンと落としています。だから「ハニロボ」の意味を考えること自体、ホントは意味のないことかも」しれません。

 70~80年代系の小ネタギャグは満載ですが、反応して笑ってしまうと自分の年がバレてしまいそうで、ちょっと恥ずかしい(笑)
ツボだったのが「スカポンタン」で、久しぶりに聞きました。懐かしい~♪

 舞台は、白黒市松模様の床と白い壁。壁の4箇所(かな)が扉になっています。

 冒頭、BGMとともに扉が開き、黒い衣装をきた登場人物が一気に飛び出してきます。唐版・風の又三郎の黒マント軍団の登場シーンのようでかっこよい。

 朝比奈(遠藤咲子)&秦(若林史子)のプロのキオスクおばさんコンビと天然っぽい夢野のからみが面白いです。

 遠藤咲子さん、ますだようこさんの"間"は絶品だなと思います。彼女たちが出ている場面は、客席の笑い声が多いですもん。

夢野幻 石井亜矢
朝比奈愉快 遠藤咲子
秦庸子 若林史子
国木田独走 為平康規
大和武 久米靖馬(クロカミショウネン18)
桶川真琴 斉藤邦男
海原昭仁 力武修一(リケチカ)
照山終 ますだようこ
中条アリス 神崎友里
 
脚本・演出 福永郁央
照明 黒木健史(TKB)
音響 浜本竜太郎
映像 富田礼介(下戸型ロボット)
舞台製作 さる工房泉真
制作 稲葉久美子/PIGMIX

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