宝塚歌劇団
「アデュー・マルセイユ/ラブ・シンフォニー」
宝塚歌劇団
25-Nov-2007 15:30~18:35 1F-16-49
東京宝塚劇場
詳しい内容はこちらで(ENAK STAGE GRAPH)
ミュージカル・ピカレスク
『アデュー・マルセイユ』
-マルセイユから愛を込めて-
作・演出/小池修一郎
犯罪モノとして普通に面白い。
もっとハードボイルドな色合いが出るとかっこよいのではと思うのだけれど、それでは宝塚じゃなくなってしまいますね。
ジェラールとマリアンヌの恋物語のくだりは、ちょっと端折りすぎじゃないかと思いました。唐突すぎないか。暗い青春時代を送ってきたジェラールにしてみれば、夢に向かって明るい道を歩いているマリアンヌに好意をもつのはわかるし、マリアンヌにとって、幼い頃、父親から聞かされていたジェラール像にあこがれていたようなので、二人が結びつく下地はあるのは理解できるのですが...
この物語、結局ジェラールとシモンの友情と暗い過去との決着の話なんですね。しかし宝塚的には、主演コンビの恋の話を入れ込まないといけないのでしょう。
マリアンヌが偽札密輸の証拠をつかんだために命を狙われるとか、組織に捕らえられたジェラールを救い出すために自ら悪に手を染めようとするとか、まー、そんな具合に事件に大きくかかわってくると恋の相手としてのマリアンヌの存在意義もでてくると思うのだけれど、100分の枠にはおさまらなくなってしまいそうだし。
春野寿美礼と桜乃彩音の組み合わせって、対等な男女ではなく、大人と少女という感じなので、本作品のようにお互いが等身大の役だと、何か強烈な動機付けがないと恋愛物として成立し難いように思います。(この点、春野寿美礼・ふづき美世は、大人同士の雰囲気があってよろしかったです。)
前作の「黒蜥蜴」、公演時は「なんで明智と黒蜥蜴が兄妹なんだようっ!」とつっこんだものですが、今思えば春野・桜乃の恋愛物を実現させるためのウルトラCだったのかも(単に苦肉の策かもしれないが)。
愛音羽麗はアダルト~なおいしい役。
真飛聖、品は無いけれど根はいいヤツというキャラがよく合ってました。もし、街が浄化されてカタギになったら、絶対石鹸彫刻職人だな。愛音羽麗がおかみさんで(笑)
立ともみ、出番は多くないが、ここぞというときに登場する御奉行様のようで、これもおいしい。
星原美沙緒はさすがの貫禄、しかも怖い。犯罪モノが面白くなるかどうかは悪役の存在感次第だと思うのですが、その点は大成功でしょう。
壮一帆、善人にも悪人にもなりきれない役をやらせたら日本一だと思います。
アルテミス婦人同盟の面々では、やはりメガネっ娘の花野じゅりあがツボでした。
マルセイユの駅前のシーンの舞台美術は秀逸でした。大階段を"駅前の階段"に見立て、上手く街のセットにとけこませています。「歌劇」「宝塚グラフ」に、その場面の舞台全体の写真が載っていないのは、"生で見るまでのお楽しみ"ということかもしれませんね。
グランド・レビュー
『ラブ・シンフォニー』
作・演出/中村一徳
群舞が多く、ジャズ、ラテン、スパニッシュと、ノリのよい曲が続くので楽しい。自分的には好みのショーです。
白を基調とした衣装でオーソドックスなプロローグ、一転して第2章「ラブ・ゲーム」では夜のクラブでエロっぽいダンスシーン。バックダンサーが途中ストップモーションになりますが、一般人だったらしろう一発で攣るような、すごい体勢で止まっていたのに感動。さすがプロ(笑)。鈴懸・花純・舞城・花野というアダルトなダンサーに混ざって、華耀きらりのような童顔の娘役さんが思いっきりセクシーに踊っているのも、宝塚の楽しみじゃないかと思います。
花の場面は、見た目はメルヘン調なのに音楽はロック系で、御趣向。
ラテンシンフォニー。、桜乃彩音は娘役にしては背が高めなのとシャープな顔立ちなので目立ちますね。歌は...声量がないのでダイナミズムが出ず、一本調子になっちゃうのだな。惜しい。
スペイン交響曲。鈴懸三由岐のシャープな踊りを堪能。回るスピードのなんて速いこと。
ジャズにしろラテンにしろ、"ムード音楽"として一括りにされていた昔風の曲調が、いかにも宝塚って感じでたまらなく良かったりするのでした。
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