SPIRAL MOON「夜のジオラマ」
SPIRAL MOON
2-Dec-2007 13:00-15:00 A-5
劇・小劇場
いきなりネタバレになります。
2007年、ジャーナリスト・作家である三果が人里はなれた家に引っ越してくる。
ここのオーナーは変わり者らしく、住む条件として「引越しの際になにかひとつ持ち物を置いていくこと」をあげている。
前の住人が残していったのはロッキングチェア。
2007年の現在、十数年後の未来、三十数年後の未来、3つの時代を行き来します。
場面は2007年の世界から始まるのですが、物語の世界としては三十数年後の世界が起点で、三十数年後の世界で作家をしている圭吾が、「作家であった母が、なぜ筆を折ったのか」を探るために過去を訪ねます。
2007年:母が離婚をし、(舞台である)今の家に引っ越してきた時代。
十数年後の未来:母が断筆。
・十数年後の世界ではカルト的宗教集団がウイルスを使った地球規模のテロを画策していること。
・この集団と娘がかかわっており、母の断筆の原因となっていること、娘がテロから地球を救った存在であること。
・次の住人が部屋に置いていったものが女性型ロボット(ノマド)。娘が名付け親。十数年後の未来と三十数年後の未来をつなぐ存在。
母親の過去をたどり、真実を知ることで絆を深める話でしょうか。SFを持ち込むことで、時空を越えた家族の再会を可能にしており、(時空ネタとしてはベタだけど)泣けちゃうのですよね。
ポストパフォーマンストークによると、第1稿は約2時間40分の分量で、削りに削って2時間10分。
あとは段取りでなんとか2時間に収めたとのこと。
なぜ世界が滅亡に向かっているのか、カルト集団がどのような集団なのかは、明確には説明されません。きっと最初の本には細かく書かれていたのではないでしょうか。
ロボットに恋する男の話も、だいぶ端折られているように思います。
不動産屋(実は家のオーナーか?)が時空を超えた不思議な存在として描かれていますが、第一稿では、この人が一人で登場するプロローグとエピローグがあったのではという気もします。
未来がどのような時代なのか、観客すべてが同じ認識をもつためには、SF的な設定・社会背景の情報を十分に与える必要があると思います。(これが映画だったら、ビジュアル一発で説明できてしまうのでしょうね)
上演時間の制約もあるでしょうから、せめて当日パンフの裏面にでも、設定・用語解説など入れてもらえたらと思います。
(「二足歩行ロボットの歴史」という付録はありましたが、これはあっても無くてもよいような...)
ガジェットでは、それぞれの時代の携帯電話の形態が変わっていて面白い。
十数年後は、現在の携帯がより薄く・小さく・透明になったもの。三十数年後は耳かけ式ヘッドホンの形態。十数年後から三十数年後のあいだに大きなブレイクスルーがあった模様。
三果役の最上圭子さん、肉まん食べながら会話する場面、うまそうにバクバク食べてるけど、ちゃんとしゃべってるってことはかなり計算して食べてるんでしょうね。
ロボット役の戸谷和恵さんがかわいらしい。
劇中の野菜炒め、ちゃんと湯気が出てたのには感心しました。
荻野目三果 | 最上桂子 |
土本大樹 | 伊藤十楽成(シアターキューブリック) |
原田美奈子 | 大田美和 |
前園アヤ | 新井菜穂 |
日比野祥平 | 岩崎雄大 |
キムマイケル | 河嶋政規(プロペラ☆サーカス) |
石田純一郎 | 野村貴浩(劇団め組) |
荻野目圭吾 | 田中伸一 |
小堀春名 | 浅野千鶴(味わい堂々) |
ヨーコ | 戸谷和恵 |
中井万寿 | 北村耕治(猫の会) |
脚本 | はせひろいち(劇団ジャブジャブサ-キット) |
演出 | 秋葉正子 |
舞台監督 | 小沢真史 |
照明 | 南出良治 |
音楽 | 羽山尚 |
音響 | 齋藤瑠美子 |
美術 | 田中新一 |
木家下一裕 | |
装置 | 星達也 |
福原雄一 | |
チラシイラスト | 秋葉陽子 |
チラシデザイン | 岡村一也 |
記録写真 | 竹内英和 |
映像収録 | 升田規裕(M's Video Group) |
絵画デザイン | KRZYSZTOF MARCISZEWSKI |
票券システム | beyond |
制作 | SPIRAL MOON |
製作総指揮 | 落合由人 |
企画製作 | SPIRAL MOON |
Daddy Long Legs | 小西慶久 |
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