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January 17, 2008

宝塚歌劇団「A-"R"ex」

-如何にして大王アレクサンダーは世界の覇者たる道を邁進するに至ったか-
宝塚歌劇団
7-Jan-2008 15:00~17:45 2F-D-48
日本青年館

Corich公演情報

080113a

公式ページ

宝塚プレシャス「榊原和子の宝塚初日&イベントレビュー」

 劇中劇として始まる「アレクサンダー大王の物語」、演じる役者はヒッピーだったり軍服を着ていたりと現代風。Now on stage での霧矢大夢の解説によると、どうやらベトナム戦争当時のアメリカをイメージしているとのこと。国はベトナム戦争に躍起になる一方、若者は自由を求め反戦をうたう。しかし自由を求めた若者は、ドラッグの溺れ身を持ち崩していく...。それはマケドニア王としてペルシアと戦争しなければならなかったアレックスと、自由を求めやがて死(滅亡)にたどりつくアレックス個人という、アレックスの心の中と類似しているのですね。

 さて、この舞台の進行役の女性(出雲綾)は、劇中劇ではアテナ役でギリシャ世界復権のためにアレックスのペルシヤ遠征を画策するという"劇中劇"中の進行役でもあります。こいつはややこしいでしょ(笑)劇中・劇中劇の中でも同じ役割を一人の役者が演じているというのが、「現実の世界と劇中劇という虚構の世界」を不明確にしている原因だろうと思います。

 劇はシナリオに基づいて演じられるものであり、人間の人生は神の書いたシナリオによって演じらるもの。現実世界も、実は神の用意した舞台の上の劇であり、人間は単なる役者なのかもしれません。そして人間は、神の書いたシナリオを運命と呼ぶのではないでしょうか。


 ニケとデュオニソスについて。

 勝利の女神ニケはマケドニア王アレックスのための存在しており、彼が戦争をやめれば存在意義はない。片やデュオニソスは、王という立場から逃れ自由になりたいアレックスを誘惑する。それはアレックスの心の中の二面性、王としての自分と、自由を求める自分をしれぞれ象徴する存在でもあるのでしょう。
 結局デュオニソスは彼を誘惑することはできず、アレックスは(ニケとともに)死ぬまで戦い続けることになります。そしてニケは、ロクサーヌという人間の娘になってアレックスと結ばれます。やがてアレックスは病死、ロクサーヌも後に殺される運命にあるのですが、この「A-"R"ex」という舞台のなかで、与えられた役を素直に演じている者、悩みながらも演じている者、死によってでしか役から解放され得なかった者等ありますが、唯一ニケだけが、神から人間へと、自らの意志で自分の"役"を替えることができたのは面白いですね。シナリオの設定を根底からくつがえすような行為、それは神の否定=神々の終焉を暗示しているのかなあと思ったりして。


 そんなこんなで...

 いろいろ考えて遊べる題材ではありますが、宝塚らしからぬ難解系の作品でもあります。まー、大劇場公演じゃないし、バウ物ってもともと大劇場ではできない実験的な演目をも視野に入れているはずなので、アリだと思うのです。
 「宝塚だから、やっぱりフィナーレのショーが欲しい」という意見がありますが、フィナーレというリアルなステージがあると、それまでの現実と虚構が曖昧だった「A-"R"ex」の世界が、全て虚構の世界として片付けられてしまうように思います。

 表向きはフィナーレを入れる時間がなかったという理由ですが、実は荻田先生、ハナっからフィナーレ入れる気はなかったのではないかと勝手に思ってます。

 宝塚っぽくないという声もありますが、難しい題材を精一杯宝塚ナイズしていると思われます。ちゃんとミュージカルで、麻華りんかの狂った花嫁の歌(これ難曲と思われ)や矢代鴻のゴスペル、彩乃センパイの「皆殺しの歌」(絶品)など聞かせどころもある。ダンス場面は少ないけれどタンゴ風の場面もあり面白い。見た目・立ち振る舞いの美しさ、ニケの無邪気な可愛らしさやデュオニソスの中性的妖艶さは宝塚以外の場所だったら見られないと思うのです。

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