パラドックス定数「HIDE AND SEEK」
パラドックス定数
24-Feb-2008 15:00~17:00
ザムザ阿佐ヶ谷

作家と作品のキャラクタが対話し虚実入り混じる設定というのは、割とよくある手法(特にマンガでは、作中にわざと作者を出すのは常套手段だと思います)。映画の「RAMPO」も乱歩の世界と明智の世界が入り混じっていました。
ところが、この「HIDE AND SEEK」の面白いところは、
・三人の作家とそれぞれの生んだキャラクタが(キャラクタが作品の枠を飛び出して)入り混じる。
・別のキャラクタを同じ役者が演じている。(乱歩の小林少年=久作の呉)
三人とも、単に交流があったというだけでなく、作品上でも大きく影響しあっていたということでしょう。
自分は作家ではないのですが、横溝の言う「作品のキャラクタが自分に語りかけてきてくれて、作品ができあがる」というのは、俗に言う「勝手に筆が進む」ということでしょうし、逆に書けない状況が、作品の登場人物がどんどん逃げていってしまうようなもの、というのはわかる気がします。
編集者と称してあらわれる黒服の男、貪欲に作品を求める読者の総体であり、時として作者を追い詰める脅威の存在。自分は読者側の立場なのですが、黒服の男に自分を投影し、自分自身を舞台上に見てしまうせいか、ちょっとへこみました。実際は、読者のおかげで作者は飯が食えているのだから、堂々と読者であればいいんですよね(笑)
作家とキャラクタの「HIDE AND SEEK」であり、読者と作家との「HIDE AND SEEK」。
「作家は死んでも、作品が残る限りキャラクタは死なない」というくだり。そのとおり、作家たちは亡くなっても、作品は今世にも残っています。作家でない者としては、とてもうらやましい。
作家と作品キャラクタが楽しく語り会うながら幕となります。これは、作家は死ぬ...でも作品が残る限り、作家の心も作品とともに行きつづけるというとかと思います。この終わり方がとてもさわやかで爽快に感じられました。
「東京裁判」のような一分の隙もない濃厚な舞台を期待していたので、ちょっと肩透かしをくらった気はありますが、笑いも多く幻想的な味わいもあり、十分面白い。欲言えば、乱歩・久作・正史の当時の実年齢に近い役者さんで演ってもらえたらなあ。
ドグラマグラを読んで知っている客さんは、明智小五郎シリーズや金田一耕介シリーズを知っているお客さんほど多くはないと思います。終演後も、そんな声がチラホラ聞こえました。自分は、読んだ記憶ははっきりしてますが中身はほとんど忘れてました。また読もうっと。
犬神家の一族、遺言書公開のくだりをホームドラマ風に再現した場面は、やはり元ネタを知っているお客さんが多く、会場は大爆笑。犬神家ってミステリーのイメージが強すぎて気づきませんでしたが、本質的に遺産をめぐるホームドラマだったのだなあと、目からウロコな気分。
横溝正史役の今里真さんは、あの関西弁は正しいのかどうかは、自分はネイティブでないので判断しかねるけれど、大坂の大店の道楽息子っぽい雰囲気がよいですね。「たちぎれ線香」の若旦那なんかピッタリなのでは。
先行予約特典の「ぱ」のマーク入り巾着袋をいただいた。
けっこういい布使ってるっぽい。土足厳禁のザムザを意識してのことか、靴袋にしては寸が足りないのが素敵(笑)。だっていい布だもの、きれいに使いたいもんね♪
| 夢野久作 | 植村宏司 |
| 江戸川乱歩 | 十枝大介 |
| 金田一耕介 | 西原誠吾 |
| 明智小五郎 | 井内勇希 |
| 横溝正史 | 今里真 |
| 呉一郎 | 酒巻誉洋(elePAHNTOMoon) |
| 編集者 | 小野ゆたか |
| 作・演出 | 野木萌葱 |
| 照明 | 正村さなみ(RISE) |
| 舞台監督 | 渡辺陽一 |
| 小道具 | 桜井徹 |
| 音響 | 古場田良子(オフィスFLIP-TOP) |
| 宣伝美術 | 蛍 |
| 写真 | 渡辺竜太 |
| 販促 | 副島千尋 |
| 監修 | 赤沼かがみ(G-up) |
| 制作 | 村上朋弘(オフィスFLIP-TOP) |
| 企画製作 | パラドックス定数研究所 |
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