ナイロン100℃「シャープさんフラットさん」ホワイトチーム
ナイロン100℃
28-Sep-2008 19:00~21:30 1F-J-19
本多劇場
ホワイトさんを観劇。
クオリティ高く、2時間半の長さを感じさせない面白さでした。
喜劇作家の苦悩。書けない悩みではなく、観客の望む笑いと自分の生み出す笑いとのズレという悩み。そのズレはどんどん大きくなってゆきます。
辻煙の笑いを赤坂(松永玲子)は理解する。赤坂は、世間とのズレが原因で引退した元漫才師。
誰も居なくなったサナトリウムで、一生涯、周囲(芸人の死、傷害事件etc)には目もくれず、2人だけの笑いの世界を選んだ(ような)辻と赤坂。救われないEnding。しかし、もし辻と赤坂が新世代のアダムとイブとなれば、二人の笑いの遺伝子を引き継いだ人類によるバラ色の社会が生まれる。アンハッピーエンドのようで、実はとてつもないハッピーエンドなのでは。
劇中で「笑っていけないもんなんかない」と、悲しい出来事の中にも笑いネタをさがしてしまう辻。それは非常識だと言われて苦悩する。 「苦悩」とは、世間の常識と自分自身の本能(=世間の非常識)とのせめぎ合いの産物。その「苦悩」は、文学や芸術の格好のテーマ。世間と折り合いをつけるか、自分自身の殻に篭るか、死を選ぶか。
しかし、自分自身の本能(=世間の非常識)を肯定し、ひらきなおることができれば、「苦悩」から抜け出せ、あたらしい世界が広がったのではないでしょうか。蛇足ながら、その世界を描いているのが落語(非常識が常識を破壊する笑い)であり、落語のすごい部分だと思います。
「半自伝的」とあるので、ケラ氏御本人が経験した悩みでなのでしょう。ケラ氏は"その世界"に行けたからこそ、本作品を客観的に舞台化できたのだと思います。
ただ、今後、ケラ氏の舞台を見たとき、苦悩しているケラ氏の姿が思い浮かんできそうで、ちょっと嫌。TV番組で、現役お笑い芸人が真面目に苦労話・不幸話を語っているのを聞いてしまうと、その後、素直に笑えなくなってしまうことってあるじゃないですか。(もちろんケラ氏の場合、笑いを取れなくなった芸人が苦労話で再起を計ろうとするのとは全く違うけれど)
文豪でも映画監督でも、なんでもいい、違うジャンルの作家の話であれば、素直に楽しめたのになあ。どうしても劇作家の物語にしたかったのならケラ氏最後の作品でやってほしかったにょ。
ホワイトチーム | |
辻煙(田中正明 劇団主宰) | 三宅弘城 |
赤坂弥生(元芸人) | 松永玲子 |
園田春奈(研々の妻)、煙の母親 | 村岡希美 |
園田研々(元芸人) | 廣川三憲 |
日田美果(辻の恋人 女優) | 新谷真弓 |
不二山キリ(赤坂の秘書) | 安澤千草 |
小柱力(劇団員) | 藤田秀世 |
北(サナトリウム職員) | 吉増裕士 |
砂川(サナトリウム職員) | 皆戸麻衣 |
塩見実子 | 杉山薫 |
熊林(サナトリウム職員) | 眼鏡太郎 |
サニー関口(劇団員)他 | 大倉孝ニ |
成瀬南(職員) | 佐藤江梨子 |
音波究二(患者) | 清水宏 |
小骨(音波の息子) | 六角慎司 |
塔島邦人(元劇団員)、煙の父親 | 河原雅彦 |
ブラックチーム | |
辻煙(田中正明) | 大倉孝二 |
園田春奈/煙の母親 | 犬山イヌコ |
音波究二 | みのすけ |
赤坂弥生 | 峯村リエ |
不二山キリ | 長田奈麻 |
小骨(音波の娘) | 植木夏十 |
小柱力 | 喜安浩平 |
砂川(サナトリウム職員) | 大山錆則 |
北(サナトリウム職員) | 廻飛雄 |
熊林(サナトリウム職員) | 柚木幹斗 |
塩見実子 | 水野顕子、研究生 |
サニー関口他 | 三宅弘城 |
日田美果 | 小池栄子 |
成瀬南 | 坂井真紀 |
園田研々 | 住田隆 |
塔島邦人、煙の父親 | マギー |
作・演出 | ケラリーノ・サンドロヴィッチ |
美術 | BOKETA |
照明 | 関口裕二(balance,inc.DESIGN) |
音響 | 水越佳一(モックサウンド) |
音楽 | 三浦俊一 |
映像 | 上田大樹(&FICTION!) |
映像イラスト(切り絵) | 古屋あきさ |
衣裳 | 松本夏記(ミシンロックス) |
ヘアメイク | 武井優子 |
演出助手 | 山田美紀(至福団)、相田剛志 |
舞台監督 | 山矢源 |
宣伝美術 | 雨場千砂子(ワゴン) |
宣伝美術コーディネート | モリタタダシ(Homesize) |
プロデューサー | 北牧裕幸、高橋典子 |
制作 | 北里美織子ほか |
制作 | キューブ |
企画・製作 | (株)シリーウォーク |
助成 | 文化庁、芸術創造活動重点支援事業 |
Recent Comments